神葬祭

朝、斎場へ。火葬祭。終了後、火葬場へ。男子として棺の持ち運び。


火葬が済むまでの時間。控え室にて親戚らと会話。その途中、不意に悲しみに捕らわれて退席。


祖父の死は、残念だけれども仕方のないことだ。年齢が上の者から死んでいくのは、むしろ喜ばしいことだとさえ思う。介護に煩わされる事も無く、いい死だった。もう使うことのない茶碗などを見て溜息をつくことはあるけれど。



この時思い出したのは1月に亡くなった同い年の友人のこと。


彼の死は突然であり、それを知ったのは火葬される前日の夜のことだった。偶然知ることが出来た私は彼の母親を強引に説得し、別の友人たちと面会させてもらうことが出来た。ガキのころからの友人である私たちに「本当は知らせたかった。ありがとう。」と泣く彼の母親はいつもよりもさらに小さく見えた。友人たちは見たことがないような涙を流していた。


私はその日から一ヶ月ほどの間、朝も夜も泣きじゃくっていた。時間が経ち、涙を流すことは少なくなったけれども、未だ彼が死んだという事実を理解出来ていなかった。



この日、私は独り泣いた。家族や親戚から離れ、火葬場の陰に隠れ、たった今火葬されているひととは別の男のことを想いながら、私は嗚咽した。私の失われた心の一部は二度と戻らず、決して埋まることがないのだということを、私は知った。


火葬が終わり、斎場へ戻る。初めて見る神葬祭は全てが珍しく、興味深いものだった。


葬祭後、おもてなしをし、お骨、位牌等を持ち帰宅。テレビを付けた瞬間に新潟に先制され、そのまま試合終了。深く溜息をつく。