長谷川祥之


昨年のセレッソ大阪戦に伝説の背番号11は引退しました。鹿島の象徴は人によってジーコだったり秋田だったりジョルジーニョだったりするのでしょうが、僕にとっては空を飛ぶ長谷川こそがアントラーズでした。チャンピオンシップでのヤナギとの高速カウンターからのヘッド、新カシスタ柿落としでのVゴール、誰も居なくなった中で怪我を押して出場したナビスコ清水戦―――数々の記憶の群れの中に、最後の姿を焼き付けようとの思い(これはそんなに贅沢な望みだったのでしょうか?)は裏切られました。苦手セレッソに1点ビハインド、しかもそのスコアラーはかつての盟友真中。ですがここまで整った舞台に主役は登場せず、そのまま敗戦を喫してしまいました。


そして1年後。


新たな背番号11が途中出場で決勝ゴールを決めてくれました。前任よりも10cm以上小さい彼は空を飛ぶ事はありませんが、前任に匹敵する強い気持ちで精魂尽き果てるまで勝利を目指し続けます。


鹿島アントラーズ愛する人たちが求めるもの、それは深井正樹の小さな体に全て詰まっているのです。