ユーロ2004


ポルトガル2−2イングランド(PK6−5)


最後まで結末の見えない素晴らしいゲームだった。オーウェンの開始早々の先制弾、エウデル・ポスティガの同点ゴール、延長に入ってのルイ・コスタの長距離ドリブルからの見事なミドルシュート、残り5分でのベッカムコーナーキックをテリーが折り返してランパードが反転シュートでまた同点と二転三転してPK戦までもつれこむというトーナメント初戦から濃いゲームを見せてもらった。

イングランドルーニーが前半で負傷交代。これが予想を遥かに越える痛手をチームに与えることになった。代わりに入ったバッセルは裏へ抜けるタイプで、中盤を押し上げさせるための起点が居なくなってしまったのだ。当然オーウェンも同タイプ、よってそれ以降は圧倒的にボールを支配するポルトガル対必死で凌ぐイングランドという構図が前半途中から後半終了まで続く事になった。結果論だが、ポストになれるヘスキーやテクニックのあるジョー・コールの方が良かったのではないだろうか。

ポルトガルの1点目はシモンのクロスからポスティガ、2点目はルイ・コスタと3人の交代選手が全て得点に絡んだのとは対照的だった。だがそれでも、イングランドはよく最後に追いついた。この時点で、PK戦はイングランド有利と思っていた。

PK戦は一人目のベッカムと3人目のルイ・コスタが外すという波乱の展開で5人目を終える。リカルドが全く合っていなかったのとリードされていたのを追いついたという事から、やはりイングランドに風が吹いていると感じていた。だがポルトガルの6人目、ポスティガが外せば負けという状況でチップキックでゴール。全ての人の虚を突くプレーにスタジアムの雰囲気が僅かに変わる。リカルドが手袋を外し、素手でバッセルのシュートをセーブ。そのままリカルドはペナルティスポットへ走って行き、強く正確なシュートでゴール。開催国に勝利をもたらした。ここでも交代選手が明暗を分ける事になった。


劇的な勝利を手に入れたポルトガルだが、一つ気になった事がある。PK戦の時にフィーゴが全く画面に映らなかったのだ。まだゴールデン・ジェネレーションで勝利するという呪縛から逃れられないのだろうか…心配だ。ルイ・コスタフェルナンド・コウトがチームのために尽くしている姿とはあまりにも対照的だ。僕の見落としならば良いのだけど…。


ちなみにこの試合でオーウェンが先制ゴールを上げた時に最初に思った事は「シドニーでのUSA戦になるんじゃねーか?」でした。グループリーグ無得点の柳沢が先制ゴールを上げるも追いつかれてPK戦でエースが外して負けた、あの試合です。本当にそうなってしまいました。でも、あんまり驚いてもいないんですよ。何か法則があって、それを感じとってるのでしょうか…我ながら謎です。